介護認定調査の質問にできないのに「できる」と返答する理由

母の介護認定調査は、大きな問題も起きることなく無事に?終わりましたが、
調査員の方の質問に対して、母は普段の生活で「できない」ことも「できる」
返答していましたが、どうしてなのでしょうか? 少し考えてみました。

 

【出来ないことを出来るという理由】

1.調査員の方の前だからしっかりしないといけないという意識が働く?

2.見知らぬ人だからある種の緊張状態で自分を良く見せようと思う?

3.質問の意図があまりよく分からいのでとりあえず肯定の答えをする?

4.自分の実情を理解できておらず今まで通り「できる」と思っている?

 

おそらく、「できない」ことも「できる」という人は、個人個人により
それぞれ理由が異なると思いますが、わたしの母の場合は、上記の3と4が
あてはまるのではないかと考えられます。

と言うのも、普段の生活でも実際はいろいろなことが出来なくなっているのに、
本人は十分できていると思っているふしがあるからです。

他にも、自分は病気などではなく まったくもって健康体なのに、
娘が自分をやっさと病気に仕立て上げて、ここが悪い、
あそこが出来ていない、これも出来なくなった と指摘して回るので、
母にとってはわたしが”小姑”か うるさい”ハエ”のような ”敵”なのです。

だから、横から手出しされたり指図されることを極端に嫌います。

例えば、炊事場に洗い物がたくさんあったので洗おうとすると、
「炊事場はわたしの”城”だから勝手に入るな!!! 大きなお世話だ!!!
いいからほっといて!!!」と逆鱗となるです。

つまり、自分がこれまでしてきた仕事をとやかく言われたくないようですし、
また、自分の仕事の領域に勝手に入ってくるな!ということなのでしょう。

確かに、良く考えてみますと、わたしも自分の仕事に対して
他の人から出来ていないところをいろいろと指摘されると不愉快になりますし、
いらないお節介はしないで欲しいと感じることがあります。

なおかつ、他人から一々言われなくても 自分でできますという思いも
自然とわいてくることでしょう。

そうやって考えてみますと、母には母の仕事のやり方があり、
これまで何十年も行ってきたことに対する自負もあるでしょうし、
今でも十分出来ていると思っているでしょうし、
当然これからも出来ると考えていることだと思います。

このように、背後にある理由を少し客観的に考えてみますと、
ホンの少しではありますが、母の反応の仕方や、
わたしを敵視する理由が見えてくるような気がします。

 

ということは、母のことにあまり手出しをしないようにして、
なるべく本人の好きなようにさせ、本当に必要なところだけ介護するという
スタンスが、母にとってはストレスがかからないのでしょう。

しかし、”言うは易し 行うは難し”です。

実際問題として、既に

○ 炊事、洗濯で水の止め忘れ   ・・・ 物忘れ

○ お金・財布をいつも探している ・・・ 探し物

○ お金を盗まれたと思っている  ・・・ 物盗られ妄想

○ 料理がおっくうで同じメニュー ・・・ 料理のパターン化

のような認知症の初期症状が出ていますし、両膝が痛くて動きが悪いし、
網膜剥離で片目は見えませんので、ほったらかしには出来ないのです。

同居している父や弟が気がついたところを介助してくれたらと願いますが、
昭和という時代の象徴のような 家では家事を一切何もしない父と、
上げ膳据え膳で欲しいものは母親のすねをかじる弟では、無理な話です。

母の行動の中でも特に気になるのが、ガスコンロのつけっ放しで
火事にならないかということと、栄養を考えた食事が出来ているかどうか
というところです。

やはり、上手にお互いに気持ちよく介護するというのは理想ですが、
介護の現実は厳しいように感じます。

どうしたら、目ざわりにならないように それとなく、それも、
本人に分からないような仕方で 支援が出来るのでしょう?
恐らく、これから試行錯誤の日々が続くのでしょうねぇ。

 

ところで、要介護認定調査員の方としては、母が トイレ、食事、
風呂、買い物、料理、お金の管理など 何でも自分で「できる」
答えたのを、どのように受け止められたのでしょうか?

調査員の方も、相手が言うことをすべて真に受けるのではなく、
人を見ぬく目、つまり”眼力”のような資格がなければ
通用しないような気がしました。

そうでないと、質問に対して「できる」「できます」を連呼する方は、
自立していることになりますので 介護や支援は必要ありませんね
となりかねません。

そうすると、本当は介護や支援が必要なのに、サービスを
受けることが出来ない高齢者が路頭に迷うことになってしまいます。

そういう意味では、「介護認定調査員」という職業は、
要介護認定の判定基準だけでなく、人の気持ちや態度、
発言と実情の差異などを洞察することが求められますので、
重要な仕事だと思いました。

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