デイサービス目的と利用拒否理由と行かせたい個人的な思い

母はデイサービスをたった一度だけ利用しましたが、
残念ながらそれ以降 二度と行くことはありませんでした。

その後、施設のスタッフの方が
わざわざ自宅にまで誘いに来てくれたときには、
明るく「はい、分かりました」という肯定的な返事をしますが、
のちに、自分でキャンセルの電話をするという具合です。

やがて、そのうちお誘いもなくなりました。

 

介護する側のわたしとしては、
なるべくデイサービスを利用して欲しいという願いがあります。

しかし、母としては なんとしても行きたくないという
強い意志を持っていますから、こればっかりは、
首に縄をつけて強引に連れて行くわけにはいきません。

介護をする家族側のデイサービスに行って欲しいという思いと、
どうしても行きたくないという本人の思いとのアンマッチな状態です。

せっかく介護というとても便利なサービスが提供されているのに、
それを頑固に受け付けない、拒否反応!! の温度差を感じます。

ただ施設へ行くだけなのに何がそんなに嫌なのでしょうか?

それで、デイサービスとはそもそも何のためなのか?
わたしなりに考えてみました。

 

デイサービスの目的と存在意義

もともと デイサービスは介護保険のサービスで、
介護保険の認定を受けた利用者は、
かかった費用の1割もしくは2割を負担すれば利用できるという
とってもありがたい制度です。

もし仮に、利用者が掛かる費用の全額を支払うとなりますと、
金銭的に厳しくなりますから流石に利用をためらいますが、
9割もしくは8割を保険でカバーしてもらえるのですから
安心して利用できます。

そこでちょっと気になったのが 介護保険の財源 ですが、
国・県・市の公費(いわゆる税金)と、
40歳以上の人が支払う介護保険料等でまかなわれています。

 

また、デイサービスの目的としては、

・高齢者で誰とも会話しないなどの社会的孤立防止
・食事、着替え、トイレ、入浴等の自立した生活の支援
・座る、立つ、歩くなどの身体の機能維持
・介護する家族の精神的、肉体的負担軽減

などが挙げられています。

 

続いて、デイサービスで提供される内容としては、

・食事
・入浴(身体の清潔)
・レクリエーション
・身体の機能を保つ訓練

などがあります。

 

ちなみに、どのようなスケジュールかと言いますと、
朝9時頃にデイサービスの車が自宅まで迎えに来て、
施設にて 昼食、お風呂、レクリエーションなどを楽しんで、
夕方頃に再び自宅にまで送り届けてくれます。

ですから、介護する側の家族としては、
介護づけの生活から約一日近く解放されますから、
ホッと一息ついて体を休めたり、
少しの時間的な余裕も出来ますし、気分転換ができます。

 

在宅介護負担軽減 のためのデイサービスの利用

わたしの場合、実家の状況として、父が「要支援2」で、
母が初期の認知症と診断され「要介護1」という状態です。

また、二人とも自分で風呂に入れませんし、
買い物や炊事や身の回りの世話も一人では出来ません。

今のところは、ワタミの宅配弁当や、わたしの食事の差し入れと
買い物や、週に一回のヘルパーさんでなんとか対応しています。

しかし、今後の本格的な「ダブル介護」のことを考えますと、
徐々にデイサービスに慣れてほしいと思います。

というのも、介護者が体や精神的にも休める時間がなく、
「介護疲れ」「介護うつ」「介護疲労」「慢性疲労症候群」などに
掛かることもあるということですから、
休養のための時間を確保したいのです。

他にも、デイサービスの利用により、人と会話することで
母の認知症の進行を少しでも抑えたいとも思っています。

また、生活する上で必要な様々な身体機能を使うことになりますので
本人にとっても衰えがちな体の機能維持に役立ちます。

例えば、朝寝床から起きることからはじまって、トイレに行き、
食事をして、洋服に着替え、靴を履き、車に乗り、デイサービスで
一日を過ごすということになります。

これらは、本人にとりましても体を動かすだけでなく、
頭を使うことになり、人前にも出るということで
とても大きな刺激にもなります。

一方、デイサービスを利用しないままでしたら、
規則正しい生活を意識しなくても済みますので、
もしかしすると一日中寝床に寝たままボーっと過ごしたり、
起きることもだんだんと億劫になってしまうかもしれません。

 

それで、デイサービスの目的や存在意義を考えますと、
こんなに便利なサービスを使わない手はないように思うのですが・・・

 

デイサービスに行きたがらない理由について

デイサービスの意義からして利用しない手は無いように思うのですが、
行きたがらない理由を自分なりにじっくりと考えてみました。

(前提条件として、あくまでも とても社交的な方や
 デイサービスが大好きという方ではなく、どちらかというと
 デイサービスを苦手としている方の 拒否する理由についてです。)

 

■自宅とデイサービスとの環境を比較

(以下は、わたしの親を見ていての個人的な見解です。)

普通、年金生活者で特別に働いていない方が自宅で過ごす場合、
自分の好きなときに好きなことが出来ます。

誰に気兼ねすることなく、起きたいときに起き、
食べたいときに好きなものを食べ、
風呂に入りたいときに風呂に入り、寝たいときに寝られます。

とにかく、まったく遠慮もいりませんし、
人に気を遣う必要もありませんし、
まわりの人に合わせる必要もありません。

対人関係も、自分の好きな人、気の合う人、同じ趣味の人など
気心が知れた人や楽しいと感じる人と付き合います。

一方、わざわざ嫌いな人や苦手な人と積極的に付き合うことも
少ないでしょうし、むしろ避けると思います。

他にも、何といっても、自分の自由がきくのが我が家ですし、
我が家が自分にとって一番気楽なところで、
一番居心地が良いところだと思います。

つまり、自宅は一番「安心」できるところです。

 

反対にデイサービスはどうでしょうか?

自宅と同じようにはリラックスできるわけではないと思います。

確かに、施設にも徐々に慣れてきて、
スタッフや周囲の高齢者の方々の顔を覚えて親しくなり、
よっぽど楽しいと思えるならば、話は別ですが・・・

通常、デイサービスは多くの利用者さんにとって、
最初のころはどうしてもよく知らないところです。

不慣れなだけでなく、自分の居場所がどこなのか
よく分からないように感じることもあるでしょうから、
そういう面では、やはり「不安」を感じることもあるかと思います。

 

では、一番「安心」できる居心地の良いところから、
少々「不安」を感じつつ、
それほど居心地がよいとは言えないようなところへ
わざわざ好き好んで行きますか?

子どもでもそうですが、
大人でも初めてのところというのは「緊張」するものです。

確かに、デイサービスに行けば行ったで
それなりに楽しい時間を過ごすことが出来ます。

しかし、家に居れば心安らぐ場所ですから、
体調が悪く、衰えている体で辛い思いをして、
人に厄介になってまで わざわざ行きたいとも思わないというのが
本心なのではないかと感じました。

デイサービスに行けば、自分一人だけではありませんので、
どうしても周りの方々に気を使わないといけません。

あの人はいったい誰だろう?
楽しく会話が出来るだろうか?
気が合いそうもない苦手な人が居たらどうしよう?
レクリエーションが上手くできないとどうしよう?

実際のところ、人に気を使ってまでデイサービスに行く理由なんて
本人には分かりようがありません。

つまり、本人としては、デイサービスの意義や、
利用する必要をまったく感じていないのが実情ではないでしょうか。

 

■デイサービスの内容

「レクリエーション」

母は、初期の認知症と診断されていますが、
自分はいたって健康で 頭の方もボケておらず、
一人で何でもできると確信しています。

ですから、デイサービスに行く理由もまったく理解していません。

ましてや、レクリエーションに誘われても、
子供だましのお遊戯のようなものを無理矢理させられている
という印象を持っています。

(母は、外面がいいので、その場では絶対に暴言は吐きませんが、
家に帰ってから本音トークになります。
ちなみに、「なんで? わたしが、こんなお遊戯みたいなことを
しないといけないの? バカにしてから!!」などです。)

 

「風呂」

母としては、別に風呂に入りたいわけでもなく、
風呂に入って体を清潔にする必要も感じていないのに、
風呂に誘われても困惑しているのが実情のようです。

また、入浴の準備ができたからと言われて、
人前で服を脱がされて裸になるなんて
とても恥ずかしいことですから嫌ですということでした。

自分はデイサービスに行きたいか?

これまで、母にデイサービスを勧めてきましたが、
ここで、自分がデイサービスに行きたいか?を考えてみました。

今のところわたし自身は介護が必要ありませんので、
介護される方々の気持ちがあまりよく分からないまま
自分の考えを書いていますが・・・

わたしとしては、よく分かってはいませんが、
積極的にデイサービスに行きたいとは思いませんし、
むしろ可能な限りは行きたくないと思います。

何故なら、何といっても 人の世話になるというのは、
心苦しいところがあるからです。

では、普段 わたしは人の世話になっていないかというと、
そうではありません。

というのも、一人だけで生きている人は基本的には居ないわけで、
すべての人は何らかの形で人に世話になりながら生活しています。

細かい話をしますと、現代社会では、衣・食・住を整えるためには、
誰かの世話になっているわけですから・・・

 

では、自分が病気になったときにどうするかというと、
やはり病院に行き、注射をしてもらい、薬をいただき、
場合によっては、入院生活になります。

その場合は、人の世話になっているわけですが、
それはあくまでも病気を治すために”必要な手段”だと考えます。

生きるか死ぬかという大きな問題とはいかないまでも、
本当に”必要に迫られた”ときには、
背に腹は代えられないので 他の人の世話(サービス)を受けますが、
そうでなければ利用を控えたいのではないでしょうか。

つまり、デイサービスを利用しないとどうしようもないときは、
利用することになると思いますが、
それ以外であれば行かないというのが、今のわたしの気持ちです。

 

こうして考えてみますと、
自分の今までの考え方を振り返ることが出来ました。

デイサービスに行けば、昼食を食べさせてもらえて、
お風呂にまで入れてくれます。

他にも、初期の認知症の症状を少しでも抑えることが出来るのでは?
と考えてデイサービスの利用を勧めていました。

 

でも、反対の立場から物事をとらえてみて、
自分が嫌だと感じることを他の人に勧めるのはふさわしくない
ということに気づかされたような気がします。

このように、介護される側の気持ちをじっくりと考えてみますと、
デイサービス利用拒否は、本当に行きたくないと感じる方にとっては
仕方のないことだと思えるようになりました。

母へ:
もう、デイサービスに無理に勧めることはしませんから、
行く気になったときに行ってください。

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