病院に行きたがらない母を認知症検査に連れて行くための方法

多くの病気もそうですが、認知症も、早期診断、早期発見、早期治療が
非常に重要だということは分かるのですが、認知症の疑いがある母を
どうやって病院へ連れていくかが 我が家におきましても大問題でした。

わたしの母は、普段から足が悪いので用事がある時以外は外出するのが
大嫌いですし、病院での診察のための待ち時間を少しも辛抱できない人ですし、
おまけに面倒くさいことは極端に嫌がります。

また、自分は絶対にボケていないという根拠のない自信を持っていますし、
ちょっとでも気に入らないことがありますと いきなりブチ切れますので、
そういう人を上手に痴呆症のチェックのために病院まで
連れていくにはどうしたらよいのか本当に頭を悩ませます。

 

それで、父、弟、わたしの三人で、病院に行きたがらない母を
認知症の検査へ行かせる方法をいろいろと相談しました。

まず第一に、母は家族の中で 誰の言うことを一番聞くのか?
ということになりました。

なぜなら、人って面白いもので、自分があまり好きでない人や
嫌いな人や苦手な人の話を聞き入れるのは難しく感じますが、
自分が好きな人の言うことだったら、少々無理してでも
聞いてあげるところがありますよね。

同じ家族でも性格や意見が合う合わないというものがあります。
それで、病院へなかなか行かない母を説得するためには、
母が一番受け入れやすく好意を持っている家族に話を切り出して
もらおうという算段です。

弟としては「自分の言うことをお母さんが聞くはずがない」と
言っていましたが、やはり何といっても母が溺愛した息子(弟)の
言うことを一番聞き入れるのではないか ということになりました。

ちょうど、弟は現在両親と同居していますので、弟が前面に立って
母親を病院へ誘うのがちょうどいいということになりましたが、
普段は仕事がありますので、弟が休みの時に実行することになりました。

そして、弟の車の運転で母を連れて行ってくれることになりましたので、
単なる願望に近かった母の認知症検査計画がだんだんと現実味を
帯びてきました。

というのも、もし弟が協力してくれない場合は、母にバス停まで歩いてもらい、
それから、バスに乗せて病院まで行くことになりますが、それはまず
不可能に近いことでしたので、一安心でした。
続いて、どこの病院に連れていくかという点では、物忘れ外来なのか?
心療内科精神科? それとも健康診断の名目にするか?
どうしようかということになりました。

一番簡単そうなのは、健康診断ということにして、とりあえず病院へ
連れていくというのはどうか?という案が出ました。

しかし、もし後で母にばれたら大変なことになりそうですし、
やっぱり嘘は良くないだろうということで、近所でわりと評判がよくて
物忘れ外来がある脳神経外科に行くことにしました。

さっそく病院に連絡を取ってみますと、あらかじめ予約した方が
良いらしいのですが、一日につき2件だけ予約が取れるようでして、
早くても半月先の午後2時に1件だけ空いていて、それ以降でしたら
2ヶ月先になるということでした。

それで、とりあえず半月先の午後2時に予約を入れることにしましたが、
予約の時間の前に「問診」があるということで、午後1時15分までに
病院に行く必要があるということで、実家を遅くとも昼の12時40分に
出発することになりました。

このようにして、診察していただく脳神経外科と日時は決まっていきましたが、
でも、問題なのは、あと半月の間にどうやって母を説得するかということで、
つまり、猫の首に鈴を付けるための具体的な方法をどうするかです。
そこで、3人で作戦を練ることとにしました。

まずは、弟が母の機嫌のよさそうなときを狙って、
「お母さんにはいつまでも元気でいて欲しいから 人間ドックではないけれど
どこかで からだ全体を病院の先生に診てもらったら僕たちも安心できるけど、
俺が車を出すから行かないか?」と誘ってみる。

もしもそれでダメだったら、遠方に居る兄が久しぶりに帰ってきたときに
兄の口から勧めてもらう。

それでも断られたら、弟とわたしと二人で勧めてみる、
ということになりました。

 

しかし、作戦は練ったものの、母の認知症検査計画の肝心かなめの
本人への打診は一度も行われることなく日にちがドンドンと過ぎていき、
あっという間に診察の前日になってしまいました。

その一方で、どうしよう・・・、明日は診察の日なのに 本人の了解を
得ていないのでどうしよう・・・と考えながら、
いつものようにわたしが実家に顔を出したときのことです。

母は相変わらず いつものように探し物をしていましたので、
今日は何を探しているのか?と聞くと、
「何を探していたのか分からないけど、探しているのよ」という返答です。

それで、「そんなに探し物や忘れ物が多いのなら、
一度病院の先生に診てもらったら?」

そうすると、以外にも「ああ、そうねぇ」と言うことで、
すんなりと病院へ行くことになりました。

とりあえず、本人がその気になっていますので、
気持ちが変わらないうちにと思って「明日、弟が車を出してくれるから、
その車に乗って一緒に病院へ行こうね」ということでその日は帰りました。

結局、あーでもないこーでもないと、いろいろと心配していたことが
あっさりと進展してくことになり、少々拍子抜けでした。

コメントを残す